京都市中京区麩屋町通・御所南 器と切子ガラスのお店「結」
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「後から修正できる」――そんな甘えがあるとだめ

1968年 東京都生まれ
2003年 高橋太久美さん(切子作家)に師事
2005年 細井基夫さん(吹きガラス作家)に師事

――今後の展望は?

偶然ギャラリーで知り合った陶芸家で、全日根(チョン イルグン)という人がいます。彼が作っているのは、ぐい呑みとかお猪口とかすごく普通のものなんですが、この人にしか出せないものを持っている。言葉にはできない雰囲気というか…。そういう器を作りたいと思っています。僕はよく個性的だと言われるんですが、変わったものを作ってやろうという気は全くなく、一見なんでもないけど、自分ならではの雰囲気がにじみだしている――そういう作品を作っていきたいと考えています。でも、それを意識して創作しているわけではありません。自然と表れる自分らしさ。それを使う人に感じてもらえたらうれしいです。

――作品創りから学んだことは?

吹いて削ってフォルムを生み出すので、「吹き」の段階で形が多少イメージと違っても、削る段階で修正することも不可能ではありません。でも「後で修正できる」という気持ちがあるとダメ。きれいな形には吹けません。削った後の器の姿を頭に浮かべてイメージ通りに吹けたときは、最後まできれいに仕上がります。

切子でも後から多少の修正はできますが、そこに甘える気持ちがあると、いいものはできません。これは何についても言えることかもしれませんね。

――ガラスの器の魅力と楽しみ方は?

魅力は何といっても透明感があり、光を通すこと。ありきたりだけど、それに尽きます。例えばウィスキーのように色の付いたお酒を入れたときの美しさ。それは透き通ったガラスならではです。作品は一応、焼酎グラスとか用途を考えて作っていますが、お客様には好きに使ってもらえたらいいと思います。僕は創作を楽しんでいます。だから使う人にも、楽しみながら自由に使っていただきたいと考えています。

――ガラスとの出会いは?

きっかけは本当に偶然です。自転車で道を走っていたときに切子の高橋太久美先生の「たくみ工房」を発見して、ちょうど何か創作活動をしたいと思っていたところだったので思い切って門を叩いてみたのが始まりです。その後、自由な形を求めてガラスを吹くところから手掛けるようになり、自分で吹いた器を削って形を生み出すというスタイルで、創作を続けています。

――ガラスの生地を吹くところからやろうと思ったのはなぜ?

職人の世界は一般的に分業化されています。切子でもガラスを吹く人と、完成した器に細工をする人は普通、別々です。ただ僕の場合、切子をやっていて、生地に模様を刻むだけでなく、器そのものの形を自由に創作してみたいという思いが高まってきました。ガラスを吹いて器を創り、全体を削っていったら面白い形が創れるんじゃないかと思ったんです。

そんなとき、高橋先生のご縁で吹きガラスの細井基夫先生と知り合い、頭の中で考えていたこの手法が実現しました。

まず後から削ることを考えて、厚目に吹いて器を創ります。さらに全体をグラインダーで削っていって、新たな形を彫り出す…実際にやってみると、一から形を生み出す面白さに夢中になりました。それ以来、模様というよりフォルムにこだわり、この手法で創作を続けています。


厚く吹いたガラスの器を外側から削り込み、形を生み出す――そんな手法で作品を創り続けている増田さん。吹く風のような、あるいは渚の波のような、リズミカルで流れを感じるそのフォルムは美しく、手にもしっくりとなじみます。自由なフォルムを求めて今の創作スタイルを確立されたという増田さんに、ガラスの魅力や作品づくりの想いなどをうかがいました。

自然とにじみ出てくる自分らしさを求めて

Masuda Kenji

増田 建治
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